センター長のご挨拶

年をとると物忘れが多くなり「顔は出るけど名前が…」「何をしにここに来たの?」と…これは自然の老化現象で多くは生活上の支障はありません。ところが、病気によって、脳が萎縮したり血管が障害されると、体験や出来事の記憶の全てを失ってしまいます。忘れていることすら忘れてしまいます。このように脳疾患によって生活が困難となった状態を「認知症」と呼びます。

「認知症」はたくさんの疾患の総称です。神経、脳、外傷、内分泌、栄養系など幅広く原因があります。レーガン大統領や、サッチャー首相がかかった「アルツハイマー病」も「認知症」の一つの疾患です。「認知症」=「アルツハイマー病」ではありませんが、「認知症」全体の6~7割を占めています。

さて「認知症」の中には、治療回復が可能な疾患があります。甲状腺機能低下症、慢性硬膜下血腫、ビタミン欠乏症などです。この治療可能な「認知症」を見落とさないために、初診時に検査などを行い、「認知症」などの疾患なのかを鑑別する必要があります。

最近首都圏や関西圏の20歳以上の2千人を対象とした「認知症」に関する意識調査の結果、3割以上の方が、身近な家族・友人が「認知症」でないかと気づいていることが判りました。ところが、誰にも相談できない人が、なんと6割近くもいたのです。また、相談相手の多くが家族や知人で、医療機関に相談した人はわずかでした。家族に相談しても「歳のせい」と言われ、「認知症」の発見が遅れがちです。治療可能な「認知症」の場合もあるのですから、やはり医療機関を受診することをお勧めします。

まずは、かかりつけ医や私ども認知症疾患医療センターに相談してみて下さい。お待ちしています。

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